湖北・長浜の食文化KOHOKU・NAGAHAMA FOOD CULTURE
食文化へのこだわり
滋賀県の面積の6分の1占める琵琶湖は、多種多様な魚たちの宝庫であり、また北近畿から福井県嶺南地方にかけては、香り高く棘の少ない朝倉種と呼ばれる山椒の一大産地でもあります。その湖と山の恵みの両方の恩恵に浴することのできるこの湖北地方はまさに生活の中に湖魚と山椒が溶け込んでいます。
特に小鮎が獲れる春先から初夏にかけての時季は親戚や知人に佃煮にして送られる方も多く、それぞれのご家庭がそれぞれの炊き方で自慢の腕をふるいます。しかしながらそういった風習も近年の食生活の変化や人口減少、高齢化により徐々に廃れてきていることも事実です。また体力と忍耐が必要な山椒の収穫も次の世代に引き継がれていかれるのかどうか今後の課題でもあります。
私どもはここ長浜の地で60年以上にわたって家業を営んでまいりました。これからも手作り、地元産にこだわりながら湖北の食文化をささえる一助になれる存在であり続けたいと考えております。
琵琶湖の漁とは智恵の結晶
佃煮の伊吹は滋賀県の湖北地方に位置し、西には日本一の琵琶湖、東には百名山の伊吹山がそびえる、大変自然豊かなところです。
淡水魚の宝庫、琵琶湖。小鮎をはじめ、本もろこ、ごり、わかさぎなどの湖の幸。そして自然豊かな伊吹山系で収穫する山椒や山蕗などの山菜。
この貴重な素材を活かし、丹精込めて丁寧にじっくりと炊き上げます。
小糸網
小糸網漁とは、水中にカーテンのように張った網で漁獲する漁法です。 漁師の長年の経験と勘により、刺網を仕掛けます。 小糸網漁で採れた魚は、佃煮にすると柔らかく炊きあがるという利点があります。 佃煮の伊吹の小鮎は主にこの小糸網漁で漁獲したものを使用します。
えり
湖上の花、造形美の代表ともてはやされるえりは、正しく、魚の習性を知り尽くした人の知恵の結晶。 湖中に突きたてられた竹の垣根に沿って前進した魚は、次第に先端のツボの中に誘導され、ついには出られなくなってしまいます。
四つ手網
十文字に交差させた竹ざおで、四角い網の四点を固定し、水中にそっと沈めては魚をすくい上げる四つ手網。 湖北の姉川や、湖西の安曇川でよく見られる、おだやかな漁(いさ)りの風景です。
追さで
烏や鵜の黒い羽を竹ざおの先にぶら下げて湖面をたたくと、魚は烏そのものの襲撃とばかりに恐れて逃げ出します。 魚を追いたてて、水中に待ち受ける網の中へ。一見ユーモラスにも見えますが、羽毛で追う人と網で待ち受ける人との呼吸が合わないと成果の上がらない絶妙な漁法です。
やな
川の河口に近づくにつれ、川の流れを止めるかと思われるようなスが張られている風景が現れます。 スにぶつかった魚は、スに沿って誘い込まれてうけすに落ち込んでいきます。